産業用CTで、工業製品を検査するには、検査する対象物に適した非破壊検査装置を選ばなければなりません。こちらでは、高出力・高エネルギーで高透過な検査ができる製品と取り扱っている企業を紹介しています。
X線は、波長が短い電磁波で、物質を透過することができますが、あらゆる製品を検査できるわけではありません。産業用CTで、製品を検査できるかどうかは、検査対象物の大きさや材質によって異なり、大まかに判断することができます。
X線は基本的に元素番号の大きい材質ほどX線を遮断するため、透過しづらくなります。また、同じ材質のものであっても密度が高くなるのにしたがってX線は透過しづらくなります。その場合、材質に応じてX線管の出力を上げなければなりません。
産業用CTでは、管電圧を上げるとX線の波長が短くなり透過しやすくなります。管電流を上げると発生するX線量が増えるので強度は上がりますが、検査対象物によって適切な管電圧と管電流は異なります。そのため、検査の際に適切な設定にすることが大切になります。
材質 / 出力 | 130kV | 160kV | 190kV |
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鉄 | 11mm | 15.7mm | 18.8mm |
アルミ | 56.5mm | 63.3mm | 68mm |
樹脂 | 150.7mm | 160.8mm | 169.7mm |
検査する対象物の形状は、それぞれ異なります。そして、対象物のどの部分を最大の透過厚みとするかは、形状によって異なります。
例えば、同じ直径の円筒と円盤を測定した場合、内部に空洞がある円筒の方がX線が透過する厚みの合計は小さくなります。このように、大きな対象物であっても形状によっては密度が低いものや、逆に小さな対象物であっても密度が高いものもあり、必要な透過力に違いがあります。
東芝ITコントロールシステムの高出力・高エネルギーの産業用CTは、450kVの高エネルギーX線発生装置のCTスキャナ。X線検出器が異なる2機種がラインナップされています。20000シリーズはX線検出器にラインセンサを搭載することで、大型アルミダイカスト製品や鋳物、タイヤなどのX線透過が厳しい製品でも高画質で撮影できます。
また、30000シリーズはFPDの搭載で、1回のスキャンで、最大1024スライスのCT画像の撮影が可能。さらに、LDAとFPDの両方の検出器を搭載したカスタマイズにも対応で、1台で高画質と高速スキャンを同時に実現できます。
テスコの高出力・高エネルギーの産業用CTは、X線源600kV/450kVを搭載し、金属製品の透過力を向上させたシステム。高精細ラインセンサーと大型フラットパネルを組み合わせることで、肉厚やX線の透過が難しい材料も対応でき、クリアな画像での内部観察を実現しています。
X線量が多いため、撮像時間の短縮も可能になり、450kV・小焦点モードで出力を抑えたスキャンもできます。
ニコンソリューションズの高出力・高エネルギーの産業用CTは、独自の強力な450kVのマイクロフォーカスX線源を搭載し、優れた解像度と精度を可能にしています。
サンプルサイズは直径500mm、高さ600mmの大きさに対応。ウォークインキャビネットと大きな扉で、サンプルの設置が簡単にでき、マニピュレータは100kgまでのサンプル搭載が可能です。
コメットテクノロジーズ・ジャパンの高出力・高エネルギーの産業用CTは、コンパクト設計で作業現場での運用も想定されたX線検査装置(CT、2D対応可)です。管電圧は最大450 kVで、ラインセンサーとフラットパネルディテクターの両方を搭載しているため、大型で高密度な部品のCT(3D)解析に適しています。
さまざまなサンプルに対応できる柔軟性と、操作が簡単にできる直感的な操作を持っています。
日本ベーカーヒューズの高出力・高エネルギーの産業用CTは、320/450kV管球搭載コンパクトCT機器です。低コストで、生産工程管理向けの堅牢かつ省スペース設計になっています。
3次元スキャニング範囲は最大500mm x 1000mmで、欠陥の場所やその数を正確に把握することが可能です。低コスト・保守メンテナンスで生産工程向けにサンプルの積み下ろしや、バーコード・リーダー等の機能を搭載しています。