X線を使用した非破壊検査装置とは

産業用CTスキャン市場は、製品の品質維持に必要不可欠な装置であると多くの業界で認識されるようになり、ヘルスケア、自動車、エレクトロニクスなど、さまざまな産業分野で普及が進んできています。ここでは、X線を使用した非破壊検査装置について、分かりやすく説明しています。

非破壊検査とは

非破壊検査とはモノを破壊することなく検査する方法で、検査する対象物にキズをつけたり破壊したりせずに、その物質の性能、構造、欠陥などを調べることができます。そして、検査する対象物の内部を検査するのか、もしくは外部を検査するのかによって、検査方法は異なります。

内部を検査する

  • 放射線透過検査…検査する対象部にX線などを照射することによって、正常な部分と欠陥のある部分の透過線量の違いによって検出する方法
  • 超音波探傷検査…検査する対象物に超音波を送信することによって、欠陥のある部分からの反射により検出する方法

表面を検査する

  • 磁気探傷検査…対象の検査物を磁化し、表面のキズにより発生した漏洩磁束に磁粉を吸着させることで検出する方法
  • 浸透探傷検査…検査物に浸透液を塗布し、表面キズにしみこんだ浸透液を現像することにより検出する方法

上記以外にも、電磁誘導検査、ひずみ試験などがあります。

X線を使った非破壊検査とは

医療用のレントゲン撮影と原理は同じ

X線を使用した非破壊検査は、医療現場で使われているレントゲン撮影と同じ原理で、検査物にX線を照射し正常な部分と欠陥のある部分の透過線量の違いによって検出します。

医療用のX線CTは人体を撮影するため被ばく線量を抑えることが重要とされる一方で、産業用X線CTは工業用製品を撮影するため被ばく線量を抑える必要がないため、長時間にわたって撮影することができます

素材によって必要なX線の透過力が異なる

X線を使用した非破壊検査装置では、検査物によって必要なX線の透過力(物体を突き抜ける力)が異なります。小型の電子部品や繊維などの透過しやすい素材であれば少ない透過力で済みますが、大型のアルミダイカスト製品や鋳物、タイヤなどのX線の透過が難しい素材では、高い透過力がなければ撮影することができません。

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