CT画像の活用事例とは

CT画像にはさまざまな活用事例があります。ここではCT検査で測定誤差を及ぼす要因や構成したCT画像の活用事例について紹介するため、ぜひ参考にしてください。

CT検査で測定誤差を及ぼす原因

X線源の温度安定度

X線の周囲や温度変化により、熱による膨張や出力電圧などの変動が起こる温度ドリフトが発生する場合があります。温度ドリフトは照射位置のずれを引き起こすため、これが測定誤差を及ぼす原因となります。

幾何誤差

幾何誤差は、回転テーブルの位置が理想状態からずれることにより起こるものです。寸法のズレの原因となります。

運動誤差

運動誤差は、回転テーブルの回転が指示した通りになっていない場合に発生するものです。3Dモデルの正確性を損なう原因となります。

検出系

検出系の誤差は、位置や姿勢のズレにより生じる東映像のボケやX線検出器間の感度差・ノイズ特性などにより像が不明瞭になったりするものです。X線CTそのものの物理的な要因によって生み出されるため、しっかりとキャリブレーションをする必要があります。

試料物性

試料物性は被検体の特性により引き起こされます。試料が金属の場合、撮影時の条件により二次的にアーチファクトと呼ばれる異常が発生することがあります。アーチファクトにはメタルアーチファクトやリングアーチファクト、ストリーク状アーチファクトなどさまざまな種類があります。

CT検査で画像を構成する流れ

CT検査で画像を構成する流れは「X線の発生」「X線の検出」「投影データからの画像再構成」の3つのステップがあります。

CT検査では、X線管と呼ばれる装置からX線を発生させています。X線管に電流を流すことにより、陰極にあるタングステンフィラメントから熱電子を放出させ、その熱電子を収束カップに収束して管電圧により加速します。加速させた熱電子を陽極側のターゲットマテリアルに衝突させることで、X線を発生させているのです。

発生させたX線は被写体を挟んで正対位置に設けられたX線検出器により検出されます。CTスキャナは1回の撮影で数百から数千枚の透過像を取得しなくてはいけません。

さらにメガピクセルサイズの高解像度デジタルデータを高速に取得・読み取らなくてはいけないため、X線を微弱な傾向に変換するシンチレータを介して、硬X線検出を可能にしています。

X線は検出器との経路上にある検体に吸収されることにより減衰します。任意点を通過するすべての投影の値を得ることにより、数学的に透過率を求めることが可能です。CTスキャンでは検体全域360度方向からの透過像を取得することにより、検体の3Dデータを構築しています。

構成したCT画像の活用事例

断層面の変化を動画化

CT画像を時系列に並べることにより、被検物を輪切りにした断層面の変化を動画化することが可能です。1枚の画像では発見できない被検物の問題点を発見しやすくなるメリットがあります。断面動画や3D動画はAVI形式による出力が可能で、MP4などのファイル形式に変換することもできます。

リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングとは、CT画像をもとにして3次元構造を立体的に確認するものです。CT画像を空間的に縦に並べることにより、疑似的な立体模型を作成できます。

寸法測定や堆積測定、密度測定などに応用可能です。リバースエンジニアリングを活用した製品と設計図面を比較すれば、どの程度の精度で製作できたかを比較し、製造工程の改良などに役立てられます。