CT検査で発生するアーチファクトとは

アーチファクトは、X線CTスキャンの際にデータ取得時に発生するノイズのことを指します。これらのアーチファクトの発生原因、種類、および対処法について説明します。

CT検査でアーチファクトが発生する原因

CTスキャンでは、三次元データを収集する過程で、膨大なデータを処理する際に計算の矛盾が生じ、アーチファクトが発生することがあります。この計算の矛盾は、実際に存在しないデータを生成する要因となります。

CTスキャン後の画像に対してソフトウェア処理を行うことが、アーチファクトの軽減に一般的に使用されています。 また、CTスキャンにおける誤差要因はさまざまで、装置そのものの誤差や外部の影響によるノイズも含まれます。複雑な誤差要因を画像から取り除くことは非常に難しい作業です。

発生するアーチファクトの種類

メタルアーチファクト

直線状でわずかにぼやけた像が表示されるアーチファクトです。金属など吸収係数が高い物質が存在する場合、その周りが暗くなる現象がメタルアーチファクトと呼ばれています。複合材質のスキャン時には、金属の周りでハレーションが生じ、別の物質が暗く表示されたり、空気領域にノイズが発生することがあります。

リングアーチファクト

同心円状の非常に細い線が表示されるアーチファクトです。画像の中心部に向かうほど線が目立ちます。リングアーチファクトは、検出器のセンサーの感度やX線の均一性が主な原因です。撮影条件や画像再構成方法などに工夫が必要で、データの再撮影も効果的です。

ビームハードニング

X線の連続スペクトルによって生じるアーチファクトです。X線源から放射されるX線にはさまざまなエネルギーが含まれており、エネルギーが低いと物質の吸収係数が高くなります。これを専門用語で「硬い(hard)」と呼び、それがビームハードニング(beam hardening)と呼ばれています。

ストリーク状アーチファクト

直線状で鮮明なアーチファクトです。透過画像内で、X線検出素子に対応する画素の不備がある場合に発生しやすいです。このアーチファクトを軽減するために、画像内の異常な部分の画素値をメディアンフィルタなどで補正し、再構成をすることができます。

コーンアーチファクト

平行光線ではなく円錐状に広がるX線が照射されることによって生じるアーチファクトです。円錐角度が大きい場合、通常は存在しないふくらみが現れたり、境界が不鮮明になることがあります。

ドリフトアーチファクト

X線源や被写体の動きによって画像がブレ、再構成した三次元データにぼかし(ボケ)が生じるアーチファクトです。このボケが、外部輪郭や内部の繊維などに影響を与え、寸法の誤差が大きくなることや、繊維の配向が確認できなくなることがあります。

アーチファクトの対処法

アーチファクトの対処方法には、CTスキャン撮影時の低減と画像処理(再構成)時の低減があります。撮影時の低減方法には、管電圧を上げる方法や、ビームハードニングの影響を抑えるためにX線を銅板などでフィルタリングして撮影する方法が有効です。