非破壊検査にはさまざまな種類があり、検査の種類ごとに装置の特徴も変わります。ここでは産業用CTにおける非破壊検査を5つご紹介し、それぞれに対応する非破壊検査装置の特徴について解説します。
「放射線透過試験」とは、内部の傷や構造をモニターで確認する検査です。放射線がフィルムを感光させる特徴を利用しています。対象物が金属でも非金属でも検査を行え、特に放射線が進む方向にある場合に検知しやすいため、奥行きのある対象物内部の傷や構造を検出しやすいことが特徴です。その一方で、表面の傷を検出するのは得意ではありません。
放射線透過試験に対応する非破壊検査装置の特徴は、「X線コンピュータ断層撮影」「ガンマ線」「ミュオグラフィ」が利用できることです。製鉄・造船・航空宇宙・エネルギー分野において使われることの多い非破壊検査装置です。
「超音波探傷検査」は超音波を利用して、対象物内部の傷や厚みを測定する試験です。放射線透過試験のように放射線を使わないため身体へのリスクが低く、多くの材質に適用できることが特徴。そのため広く利用されていますが、対象物が込み入った構造だと検査が難しくなることがデメリットです。球状の物質の検査も苦手とします。
超音波深傷試験の非破壊検査装置では、探触子と振動子を対象物に接触させて測定する仕組みです。ただし接触させずに測定するタイプもあり、探触子を対象物に接触させるのであれば垂直法か射角法の非破壊検査装置が向いていますが、直接接触させないなら水浸法の方が適します。
「渦流探傷試験」とは電気が流れるコイルを測定対象物に近づけ、過電流の変化から欠陥を測定する方法です。前処理と後処理が不要であるため、自動検査や製造ラインで広く用いられています。ただし電流を用いる検査のため、電気が流れない物体や、複雑な形状のものへの検査はできません。
渦流探傷試験ではコイルを利用するため、対応する非破壊検査装置にはコイルがあることが特徴です。そしてそのコイルに交流電流を流すための発振器と、インピーダンス測定のためのブリッジ、交流増幅器、位相検波器などが搭載されています。
対象物の表面にある欠陥を検査するのを得意とするのが「磁粉探傷試験」です。表面から3mm程度まで傷を検出でき、複雑な形状の部位への試験でも精度が高いことが特徴のひとつ。電磁石を用いて対象物へと電気を流し、磁粉の変化により欠陥を見つける検査です。
磁粉探傷試験に対応する非破壊検査装置の特徴は、ブラックライトが搭載されていることや、蛍光磁粉を用いることです。ブラックライトは磁粉探傷試験にて紫外線探照灯としての役割を果たします。そして蛍光磁粉はブラックライトの照射により光を発し、傷を見つけやすくするために使われるものです。
最後にご紹介する「浸透探傷試験」とは、対象物を浸す浸透液の毛細管現象を利用する検査です。毛細管現象によって対象物の傷内に浸透液が入り込み、洗浄した際に傷部分の浸透液だけが残ります。そして現像剤を塗ると洗浄剤が見えるようになり、傷が見つけやすくなる仕組みです。
対応する非破壊検査装置は、搬入口・浸透液層・凝縮層・蒸気洗浄槽・浸透洗浄槽・水分分離器・搬出口で構成されており、搬出口の横に観察が行える検査室があるのが特徴です。