
X線を使った非破壊検査装置では、検査対象物の素材や厚み、また検査装置の管電圧が重要になります。ここでは、X線と透過の関係をはじめ、X線の透過エネルギーに影響を与える要素や管電圧の透過力の目安について、簡単に説明しています。
X線は、波長が非常に短い電磁波で、物質を透過することができます。ただし、物質によっては透過する際に減衰して透過しづらくなります。例えば骨など密度が高い物質は透過しにくく、皮膚など密度が低い物質は透過する性質があります。透過しやすい部分は暗く黒く映り、X線が透過しにくい部分は、明るく白く映ります。非破壊検査におけるX線については、欠損があると透過しづらくなるため、白く映る傾向があります。
同じ厚みの場合、原子番号の大きいものや、密度の大きいものほど、X線を遮断します。
同じ物質であっても、厚くなるのにしたがって、X線を遮断します。
原子番号と密度が大きいものや、また厚みがあるものであっても、管電圧を上げると、X線の波長が短くなり、透過しやすくなります。管電流を上げれば発生するX線量が増え、強度が上がりますが、波長が変わっていなければ、管電流をいくら上げても、透過していない物を見ることは出来ません。検査対象物によって、適切な管電圧と管電流に設定することが大切です。
X線の非破壊検査装置を選ぶうえで重要になるのは、管電圧と検査対象物(試料)の構成元素と厚さになります。
管電圧とは、X線を発生させるX線管(真空管)の陽極(+)と陰極(-)の間にかける電圧のことをいい、陰極と陽極にかける電圧が高いほど透過エネルギーの強いX線が発生します。
透過するX線の量は、検査対象物を構成する元素と厚さに直接的な影響を受けます。対象物がどのような材質(樹脂、軽金属、重金属など)で構成されているか、そして最大でどれくらいの厚みがあるのかを明確にしておくことが、装置選びの第一歩となります。
X線を用いた検査がどのように内部構造を可視化するのか、基本的な仕組みや装置のバリエーションを把握しておくことで、自社に合った管電圧の選定がスムーズになります。具体的な検査の仕組みや対応する装置の特徴については、以下の記事で解説しています。
管電圧の数値はX線の波長とエネルギーを決定づけるため、透過できる材質と厚さの上限に大きく関わります。ただし、管電圧を高めれば良いというわけではなく、材質に対して電圧が高すぎるとコントラスト(画像の明暗差)が低下し、詳細な観察が難しくなる現象も起こります。ここでは代表的な管電圧帯ごとの透過能力の目安と、よく用いられる検査用途を解説します。
樹脂やプラスチック成形品、電子基板、あるいは数ミリ程度の薄いアルミニウムなど、比較的低密度な材質や薄いサンプルの検査に適した帯域です。管電圧を抑えることでX線の波長が長くなり、密度の低い物質でもコントラストがはっきりと出やすくなるという特徴があります。主に、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの小型電子部品の内部断線、樹脂部品のボイド(気泡)検査などに広く活用されています。
アルミニウムのダイカスト製品や、鉄などの金属部品の薄物に対応できる、産業用CTにおいて非常に汎用性の高い管電圧帯です。中程度の密度を持つ素材の内部構造の把握や、鋳造プロセスで発生する巣(す)の検出などに利用されます。軽金属の検査では十分な透過力を発揮しつつ、コントラストも維持しやすいため、自動車部品から航空宇宙関連のコンポーネントまで、幅広い分野の研究開発や品質検査で導入されています。
なお、こうした内部検査を行う際、平面的な透過画像で十分なのか、それとも立体的な3Dデータが必要なのかによって、選ぶべき装置が変わります。2DのX線検査と3DのCT検査の違いや使い分けについて迷われている場合は、以下の記事も参考にしてください。
鉄やステンレスの厚物、チタン合金など、高密度でX線が透過しにくい対象物の検査に用いられる高出力な帯域です。大型のエンジン部品や溶接構造物、肉厚な鋳造品の内部欠陥をしっかりと透過して確認するために必要となります。このクラスの管電圧になると、装置自体も大型になり、より厳重なX線遮蔽構造が求められますが、大型インフラ部品や重工業分野の検査においては欠かせないスペックです。
管電圧は「どれだけの厚さを透過できるか」を決める重要な指標ですが、検査画像の精細さ(解像度)を決める要素はそれだけではありません。微小なクラック(ひび割れ)や微細な電子部品の接合部を観察したい場合は、X線を発生させる「焦点サイズ」が大きく影響します。焦点サイズが小さいほど像のボケが少なくなり、シャープな画像を得ることが可能です。焦点サイズの仕組みや選び方については、以下のページで詳細を解説しています。
産業用CTにおいて、検査対象物の材質や厚さに応じた管電圧の選定は検査精度を左右する重要なポイントです。低すぎれば内部を透過できず、高すぎれば白飛びのようにコントラストが失われてしまいます。対象物に合わせた適切なバランスを見極めることが大切です。
なお、本記事で紹介した透過厚さの目安は一般的な指標です。実際の透過能力や画像の鮮明さは、各装置が搭載している検出器の性能、画像処理技術、撮影条件などによっても変動します。そのため、最終的な導入判断の際は、メーカーに実際の検査対象物を用いたサンプル撮影を依頼し、見え方を確認することをおすすめします。
当メディアでは、様々な用途や材質に対応する産業用CTを取り扱うメーカーを独自視点で調査し、ピックアップして紹介しています。導入の検討材料として、こちらも合わせてご確認ください。
✓ 導入未定でも大歓迎です。
まずは「どんな風に見えるか」お試しください。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。