
産業用CTにおける焦点サイズとは、X線管内で電子がターゲットに当たり、X線が発生する領域の大きさを示すものです。焦点は完全な一点ではなく一定の広がりを持つため、焦点サイズは画像のボケや空間分解能に関係します。ただし、焦点サイズが小さいという理由だけで、実際の画像の分解能が決まるわけではありません。ここでは、焦点サイズと画像のボケ、倍率、X線出力との関係を整理し、実際のワークで確認したいポイントを解説します。
X線管では、電子をターゲットへ衝突させることでX線を発生させます。このとき、X線が発生する領域には一定の大きさがあり、その大きさを焦点サイズとして表します。
X線が理想的な一点から発生する場合と異なり、焦点に広がりがあると、ワークの輪郭部分に複数方向からX線が届くため、投影画像の境界に幾何学的なボケ(半影)が生じます。同じ撮影ジオメトリで比較した場合、焦点サイズが小さいほど、この幾何学的なボケを抑えやすくなります。
焦点サイズが大きくなると、X線が発生する範囲も広がるため、ワークの投影像の境界に生じる半影が大きくなります。その結果、近接する微細構造を画像上で分離しにくくなる場合があります。
一方、小さな焦点を使用すると幾何学的なボケを抑えやすくなるため、微細な構造を確認する際には有利です。ただし、焦点サイズだけで装置全体の空間分解能が決まるわけではありません。
コーンビーム方式の産業用CTでは、ワークをX線源へ近づけることで幾何学倍率を高めることができます。しかし、焦点に大きさがある状態で倍率を高めると、半影によるボケの影響も無視できなくなります。
そのため、高倍率で微細構造を確認する場合は、倍率の数値だけを見るのではなく、焦点サイズと撮影ジオメトリを組み合わせて確認することが重要です。
焦点サイズは空間分解能に関係する重要な要素ですが、「焦点サイズの数値=実際に識別できる最小構造」と考えることはできません。
実際の空間分解能には、焦点サイズのほか、検出器の性能、幾何学倍率、装置の安定性、撮影条件など複数の要素が関係します。そのため、カタログ上の最小焦点寸法だけを比較するのではなく、撮影システム全体として目的の構造を識別できるかを確認する必要があります。
産業用CTの「空間分解能」と
「コントラスト分解能」の違い
について詳しく見る
マイクロフォーカスX線源は、小さな焦点を用いることで幾何学的なボケを抑え、高倍率での撮影に対応するX線源です。微細な内部構造を確認する産業用CTやX線検査装置などで利用されています。
ただし、「マイクロフォーカス」という名称だけで実際の撮影性能を判断することはできません。焦点寸法は製品によって異なるほか、同じX線源でも出力条件によって焦点サイズが変化する場合があります。仕様を比較する際は、最小焦点寸法だけでなく、その数値がどのような条件で得られるのかも確認することが大切です。
微細な構造を確認するために焦点サイズを小さくすると、使用できるX線出力との間に制約が生じる場合があります。実際のマイクロフォーカスX線源には、低い出力条件で小さな焦点寸法が得られ、出力を高めると焦点サイズが大きくなる仕様のものがあります。
ここで、管電圧と焦点サイズを単純に反比例の関係として考えないことが重要です。管電圧は主にX線のエネルギーやワークへの透過性に関係し、管電流やX線出力はX線量や撮影時間などに関係します。したがって装置を比較する際は、実際のワークに必要な管電圧・管電流などの条件で、どの程度の焦点サイズになるのかを確認する必要があります。
ワークの材質や厚みに対して必要となる管電圧については、以下の記事で解説しています。
焦点の大きさによる幾何学的なボケは、2次元の透視画像にも、CT画像を再構成するための投影画像にも関係します。CTでは多方向から取得した投影データを再構成するため、焦点サイズだけではなく、撮影ジオメトリや検出器、装置の安定性なども含めて画像性能を確認する必要があります。
透視画像とCT画像の仕組みの違いについては、以下の記事も参考にしてください。
産業用CTを比較する際は、カタログに掲載された最小焦点寸法だけではなく、実際のワークを撮影する条件で焦点サイズと画像の見え方を確認することが大切です。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 見たい構造・欠陥の大きさ | クラックや隙間、ボイドなど、確認したい構造がどの程度の大きさなのかを整理します。 |
| ワークの材質・厚み | ワークを十分に透過するために、どの程度の管電圧や撮影条件が必要になるかを確認します。 |
| 実際の出力条件での焦点サイズ | カタログ上の最小焦点寸法だけでなく、実際に使用する管電圧・管電流などの条件で焦点サイズがどの程度になるかを確認します。 |
| 倍率・撮影ジオメトリ | ワークサイズや配置によって確保できる倍率と、焦点サイズによる幾何学的なボケの影響を合わせて確認します。 |
| 実ワークでの識別可否 | 焦点サイズの数値だけで判断せず、可能であれば実際のワークや同等のサンプルを撮影し、目的とする構造を識別できるかを確認します。 |
高精度な撮影を目的として装置を比較する場合は、焦点サイズ、出力条件、倍率、検出器などを組み合わせた実際の撮影条件で確認することが重要です。細かい検査・高精度な検査に対応する産業用CTを比較したい方は、以下のページも参考にしてください。
産業用CTの焦点サイズは、画像に生じる幾何学的なボケに関係する重要な要素です。焦点サイズが小さいほどボケを抑えやすくなりますが、焦点サイズだけで装置全体の空間分解能が決まるわけではありません。
装置を比較する際は、最小焦点寸法だけではなく、ワークの材質・厚み、必要な出力条件、倍率、検出器などを確認し、実際の撮影条件で目的の構造を識別できるかを見ることが大切です。
当メディアでは、検査したい対象物や目的に合わせて、産業用CTメーカーを紹介しています。焦点サイズや管電圧といったスペック面も踏まえ、導入の検討材料として合わせてご確認ください。
✓ 導入未定でも大歓迎です。
まずは「どんな風に見えるか」お試しください。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。