非破壊検査のメリット・デメリット

非破壊検査とは、その名の通り検査対象物を損壊させずに内部の良品・不良品を判定する検査方法のことです。ここでは非破壊検査のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

非破壊検査のメリット

検査後も製品をそのまま使用できる

非破壊検査は対象物を損壊させずに検査する方法のため、検査後も製品をそのまま使用できます。検査の際に対象物を切断したり分解したりしてしまうと、当然再使用はできなくなってしまいます。

しかし非破壊検査であれば、同じサンプルを長期的に使用したり検査物を製品として出荷したりすることが可能です。そのため、長時間の運用が必要な大型運送機器やプラント設備など、品質保証や技術改良にも用いられます。

検査の自動化・全数検査が可能

非破壊検査は全自動または半自動での検査が可能です。破壊検査や目視検査は人による作業が必要となりますが、非破壊検査を製造ラインに組み込むことができれば、検査のためのプロセスを加える必要なく、効率よく製造・検査・納品まで進行できます。

目視検査と比べて精度が高い

非破壊検査は目視検査と比べ、精度が高い特徴があります。目視検査は内部の異常を検査するために対象物を破壊しなくてはいけませんが、目視判定可能な形に切断する加工技術が求められるのみでなく、検査員の技術力や経験によって精度に差が生まれやすいです。

本人の疲労や体調による基準のブレ、ヒューマンエラーによる見落としなども生じる可能性があります。 非破壊検査は検査結果をデータとして残すことができ、データを製造部門にフィードバックすることで製造プロセスの見直しや改善に役立てることが可能です。これにより、製品の品質向上や不良率低下を実現できます。

環境にやさしい

非破壊検査で傷や欠陥などを検出した場合、修繕が必要な場所の実を補修・修理することが可能です。検査対象物が使えなくなり廃棄になってしまう検査と比較すると、廃棄物排出を削減でき、資源を効率的に活用できます。

非破壊検査のデメリット

適用可能な物質や形状が限られる

非破壊検査は適用可能な物質や形状が限られる場合があります。磁力を使用する検査では、磁気に反応しない物質は検査できません。また表面の傷は検査できても内部の傷は検出できない場合などがあります。

手法によって利用できない材料があるため、それぞれの特性を理解したうえで、検査項目や対象物の材質、形状などを考慮して手法を選ばなくてはいけません。

検出できない欠陥がある

非破壊検査は欠陥や傷をフィルムに反射したり浮き上がらせることで間接的に推測する検査方法のため、内部のデータを取得しても、欠陥を必ずしも見つけられるわけではありません。

検査対象を破壊して検査する方法と比べると、不確実性の高い検査方法といえます。発生しうる欠陥や場所などを予想できる知識や経験を必要とします。

破壊検査と非破壊試験の違い

破壊検査は製品や部品を破壊することで内部の状態を確認する検査方法です。対象物の機能や価値が損なわれるため、非破壊検査とは異なり、再利用や製品としての出荷は難しい特徴があります。

非破壊検査は対象物を壊さずに内部の状態を検査するため、製品をそのまま出荷したり同じサンプルを長期使用したりすることが可能です。