産業用CTのインラインとオフラインの違いとは

産業用CTの導入を検討する際、製造ラインに組み込むか、検査室等に設置するかで迷う方は少なくありません。

本記事では、インラインとオフラインそれぞれの運用方法や設置環境の違い、メリット・デメリットを比較し、自社に合った選び方を解説します。

産業用CTの「インライン」と「オフライン」とは?

産業用CTの運用方法は、大きく分けて二つの種類が存在します。

製造ライン上に直接装置を組み込み、流れてくる製品の自動検査を行う仕組みが「インライン」です。一方、製造ラインから切り離された検査室や研究室などに装置を設置し、任意のタイミングで抜き取り検査や解析を行う手法を「オフライン」と呼びます。

インラインCTの特徴とメリット・デメリット

インラインCTは、生産工程のなかに検査プロセスを統合する運用方法です。大量の製品をスピーディに捌く必要がある現場で主に検討されています。

ここでは具体的な利点と課題を解説します。

メリット

製造ラインに直接組み込むことで、製品の全数検査が可能になる点が大きな利点です。さらに、自動判定システムと連携させれば合否判定を機械が行うため、検査工程の効率化や省人化を推進できます。

デメリット

システム全体を構築するため、大規模な設備投資が必要となり導入費用が高額になりがちです。また、ライン上に大型のCT装置を設置するための十分なスペースを確保しなければならず、既存の工場レイアウトの変更を余儀なくされるケースもあります。

オフラインCTの特徴とメリット・デメリット

オフラインCTは、独立した空間に装置を置き、担当者が手動または半自動で検査を行う運用手法です。対象物の内部構造をじっくりと観察したい場面で活躍します。

メリット

新製品の開発プロセスや、不具合が生じた際の原因調査など、対象物に合わせた詳細な解析・観察に特化できるのが強みです。また、多品種少量生産における抜き取り検査にも柔軟に対応しやすく、検査条件の設定変更も容易に行えます。

デメリット

検査室などの別室での単独運用となるため、検査対象の運搬作業が発生します。スキャンやデータの確認にも人手と時間がかかることから、全数検査には不向きです。

自社に合うのはどちらの運用か?

どちらの運用が適しているかは、企業の目的や予算によって異なります。大量生産品の全数検査による品質保証を最優先とし、十分な予算と設置スペースが用意できる場合は、インラインCTが適しています。

反対に新製品開発や原因究明を行いたい場合や、製品ごとに検査条件が変わる多品種少量生産の現場にはオフラインCTが向いています。

インラインCTの選び方

インラインCTを導入する際は、自社の製造ラインのタクトタイム(生産ペース)に追従できる「検査スピード」を備えているかが重要です。

また、既存のコンベア設備への組み込みやすさや、AI等を活用した自動合否判定(ADR)ソフトウェアの精度・連携のしやすさも確認すべきポイントとなります。設置スペースが限られている場合は、既存のコンベアに組み込みやすい省スペース型のインライン専用装置なども検討すると良いでしょう。

オフラインCTの選び方

オフラインCTのなかでも、検査対象物の材質や大きさ、目的によって適した装置は異なります。

たとえば、エンジン部品など高密度で厚みのある金属を検査する場合は「高出力な大型CT」、寸法や幾何公差など精密な検査を行いたい場合は「寸法や三次元測定に特化したCT」が有効です。

「まずは手軽に導入したい」「予算やスペースが限られている」といった現場で導入しやすいのがコンパクトな卓上型CTです。

導入ハードルを下げる卓上型(コンパクト)CT

産業用CTは数千万円単位の導入コストがかかり、大掛かりな設備工事が必要になるケースが一般的です。しかし近年は、導入のハードルを下げるコンパクトなモデルも登場しています。

特別な防護室の設置工事が不要なモデルや、一般的な100V電源で稼働し、オフィスのデスク上にそのまま設置できるような製品もあります。「大掛かりな設備投資は難しいが、自社内で3D非破壊検査を始めたい」という場合、こうした卓上型CTは有力な選択肢となるでしょう。

まとめ

インラインとオフラインそれぞれの特徴を正しく理解し、自社の課題や検査目的に合わせて運用手法を選択することが重要です。

全数検査による自動化・省人化を目指すならインラインCTを、対象物に合わせた柔軟な解析や抜き取り検査を行いたいならオフラインCTを検討しましょう。

検査したい対象物の材質やサイズを明確にしたうえで、高出力モデルから手軽な卓上型モデルまで、自社の環境に適した装置を選定してみてください。

撮影対象物から探す
産業用CT3選
アルミなどの軽金属や
プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
マルチマテリアルや
複雑形状部品など
部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
測定に特化した設計で
精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
  • 三次元測定やCADとの連携により、寸法・形状・幾何公差を測定が可能で、不具合の特定や開発期間の短縮につながる。
厚物金属や
溶接構造部品など
高密度で透過しにくいなら
UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。