文化財・考古学分野において産業用CTを導入し、仏像や土器の内部構造を非破壊で可視化し、保存活動や学術研究の高度化を実現した事例を紹介します。歴史的遺産の調査・解析における課題解決のヒントとしてお役立てください。

奈良文化財研究所では、貴重な文化財を破壊することなく内部構造を調査する目的で、高エネルギーX線を照射可能な日立の産業用CTを導入。強力なX線CTを活用することで、金属や木製品に加え、発掘された巨大な遺構土の塊まで非破壊での立体的な分析が可能になりました。
実際に平城京の土木工事跡の土塊をスキャンし、当時の高度な建築技法を立体画像として精細に再現。文化財研究の精度向上に大きく寄与しています。

仏像愛好家が所蔵する来歴不明の千手観音像に対し、ミリフォーカスCT装置を用いた非破壊検査を実施したケースです。
3分割のマルチスキャンで全身を撮影した結果、頭部と胴体が内刳り構造で空洞化されていることや、腕部が金属製の鎹や釘で接合されていることを確認。修復された右足の内部構造や、胴体内部に巻物状の収蔵物がある可能性も明らかになり、制作技法と保存状態の詳細な把握に成功しました。
破壊調査が許されない文化財の内部構造と製作技法を把握するため、広島大学考古学研究室は高精細な産業用X線CTを導入しました。
須恵器鳥形瓶を三次元および断層画像で撮影した結果、内部のらせん状痕跡や接合構造を可視化し、粘土紐を巻き上げる成形工程まで推定。遺物を分解することなく具体的な製作プロセスを復元し、学術的検証や保存方針の検討に活用できることを示しています。
文化財・考古学分野では、決して傷つけることのできない貴重な仏像や土器などの内部構造を高精度に解析する目的で産業用CTが活用されています。内部の空洞や接合部の可視化による製作技法の解明や、非破壊での三次元データ取得を通じ、歴史的遺産の保存と学術検証を同時に推進することが可能です。
これまで外観観察や部分的なX線透過撮影に留まっていた調査において、より詳細で立体的な内部情報を求めている研究・保存の現場で、産業用CTは非常に有効なアプローチとなります。
ただし、調査対象となる材質の密度差を正確に描出できるか、実際の遺物で研究目的に見合う鮮明なデータが得られるかを実証するためには、事前のテスト撮影が重要です。以下の記事では、撮影対象別に適した産業用CTをまとめているので、装置の比較検討にお役立てください。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。