文化財・考古学 産業用CT導入事例

文化財・考古学分野において産業用CTを導入し、仏像や土器の内部構造を非破壊で可視化し、保存活動や学術研究の高度化を実現した事例を紹介します。歴史的遺産の調査・解析における課題解決のヒントとしてお役立てください。

日立ハイテクの産業用CTを
導入した事例

文化財調査を非破壊で立体解析

平城京の土木技術調査の様子
引用元:日立ハイテク公式HP
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/manufacturing-related/industrial_ct/introduce/03/

奈良文化財研究所では、貴重な文化財を破壊することなく内部構造を調査する目的で、高エネルギーX線を照射可能な日立の産業用CTを導入。強力なX線CTを活用することで、金属や木製品に加え、発掘された巨大な遺構土の塊まで非破壊での立体的な分析が可能になりました。

実際に平城京の土木工事跡の土塊をスキャンし、当時の高度な建築技法を立体画像として精細に再現。文化財研究の精度向上に大きく寄与しています。

JMCの産業用CTを導入した事例

来歴不明の千手観音像を
非破壊で構造解明

千手観音のCTスキャン画像
引用元:JMC公式HP
https://www.jmc-ct.jp/case/case12-buddha/

仏像愛好家が所蔵する来歴不明の千手観音像に対し、ミリフォーカスCT装置を用いた非破壊検査を実施したケースです。

3分割のマルチスキャンで全身を撮影した結果、頭部と胴体が内刳り構造で空洞化されていることや、腕部が金属製の鎹や釘で接合されていることを確認。修復された右足の内部構造や、胴体内部に巻物状の収蔵物がある可能性も明らかになり、制作技法と保存状態の詳細な把握に成功しました。

島津テクノリサーチの産業用CTを導入した事例

文化財を損傷せず製作工程を解明

破壊調査が許されない文化財の内部構造と製作技法を把握するため、広島大学考古学研究室は高精細な産業用X線CTを導入しました。

須恵器鳥形瓶を三次元および断層画像で撮影した結果、内部のらせん状痕跡や接合構造を可視化し、粘土紐を巻き上げる成形工程まで推定。遺物を分解することなく具体的な製作プロセスを復元し、学術的検証や保存方針の検討に活用できることを示しています。

まとめ:文化財・考古学における非破壊・高精細な三次元解析を
実現

文化財・考古学分野では、決して傷つけることのできない貴重な仏像や土器などの内部構造を高精度に解析する目的で産業用CTが活用されています。内部の空洞や接合部の可視化による製作技法の解明や、非破壊での三次元データ取得を通じ、歴史的遺産の保存と学術検証を同時に推進することが可能です。

これまで外観観察や部分的なX線透過撮影に留まっていた調査において、より詳細で立体的な内部情報を求めている研究・保存の現場で、産業用CTは非常に有効なアプローチとなります。

ただし、調査対象となる材質の密度差を正確に描出できるか、実際の遺物で研究目的に見合う鮮明なデータが得られるかを実証するためには、事前のテスト撮影が重要です。以下の記事では、撮影対象別に適した産業用CTをまとめているので、装置の比較検討にお役立てください。

撮影対象物から探す
産業用CT3選
アルミなどの軽金属や
プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
マルチマテリアルや
複雑形状部品など
部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
測定に特化した設計で
精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
  • 三次元測定やCADとの連携により、寸法・形状・幾何公差を測定が可能で、不具合の特定や開発期間の短縮につながる。
厚物金属や
溶接構造部品など
高密度で透過しにくいなら
UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。