自動車業界において産業用CTを導入し、検査の高度化と業務効率化を実現した事例を紹介します。厳しい品質基準が求められる製品評価や、不具合の特定を迅速化するヒントとしてお役立てください。

自動車部品の金型などを手掛けるユーサン精密では、接触により歪みやすいゴム製品の測定において、内部形状の評価が困難という課題を抱えていました。従来の測定機では製品の切断や、熟練技術を要するシビアな位置決めが不可欠でした。
非接触・非破壊で内部構造を高精度にスキャンできる産業用CTの導入により、複雑な形状も切断せずに寸法測定が可能に。後から別箇所の測定が必要になった際のワーク再製作も不要となりました。また、測定工程のマニュアル化が進んだことで、作業者のスキルに依存せず、誰が測定しても一定の精度を保てる体制を構築。属人化の解消と検査品質の安定化を達成しています。
トヨタ自動車では、エンジン等の鋳造部品において、製品を切断しなければ内部に潜む引け巣などの欠陥を確認できないという課題がありました。
非破壊での内部計測を実現するため、高エネルギーの産業用CTを導入。部品の内部形状を高速かつ高精度にスキャンし、三次元モデル化する体制を整えました。製品を破壊することなく内部の欠陥を迅速に発見し、製造条件の改善へフィードバックすることで、より確実な品質保証と開発の効率化を両立させています。

車載用距離センサの評価において、樹脂やアルミ筐体で覆われた完成品の内部状態を、非破壊のまま観察したいというニーズがありました。
分解による証拠隠滅を防ぎつつ内部構造を把握するため、高解像度CTを活用。材質の境界を明確に分離しながら、製品を傷つけることなく内部状態を可視化しました。これにより、内蔵モーターの微小な位置ズレや、基板接合部のはんだボイドまで確認可能に。不具合の根本原因を正確かつ迅速に突き止める体制が整いました。
自動車業界では、接触測定が困難な軟質部品や、分解・切断ができない複雑な製品の内部構造を、非破壊で高精度に評価する目的で産業用CTが活用されています。内部状態の三次元的な可視化による迅速な原因特定と、作業者のリテラシーに依存しない均一な測定により、品質保証の確実性と開発リードタイムの短縮を同時に達成可能です。
従来の破壊検査や二次元X線検査に限界を感じ、サブミクロン単位での欠陥検出や幾何公差の評価を求めている現場において、産業用CTは非常に有効なアプローチとなります。
ただし、自社が求める厳しい公差要求を満たせるか、実際の高密度ワークで金属ノイズなどの影響が少ない鮮明なデータが得られるかを実証するには、導入前のテスト撮影が不可欠です。以下では、撮影対象のサイズや材質別に適した産業用CTを比較・整理しています。装置の選定にお役立てください。

CTの規格であるVDI/VDEに準拠し、複雑形状のマルチマテリアルでも、内部構造の観察と同時に精密な寸法計測や形状評価を行える。
設計データ(CAD)との照合や幾何公差の判定が可能なため、試作開発から品質保証まで開発・検査の効率化に寄与する。
| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 最小焦点寸法※1 | 7μm |
| 最大管電流 | 3,000uA |
| スキャン サイズ※2 |
Φ615mmxh800mm |
| 耐荷重 | 50kg |
| 本体サイズ | 3,700x1,810x2,440mm |
| 本体重量 | 6,600kg |

半導体パッケージや極小部品が密集する高密度実装基板など微細な電子部品の検査に適している。 電気的な不具合の要因となる数ミクロン単位の微小なボイド(気泡)やクラックの検出にも寄与し、製品の小型化・高度化に伴うシビアな不良解析において、確実な判定をサポート。
| 最大管電圧 | 40~160kV |
|---|---|
| 最小焦点寸法※1 | 0.4μm |
| 最大管電流 | 10~200μA |
| スキャン サイズ※2 |
公式HPに記載なし |
| 耐荷重 | 公式HPに記載なし |
| 本体サイズ | 1,594x1,787x2,064mm |
| 本体重量 | 3,000kg |

鋼材や鋳鉄、溶接構造物など、極めて高い透過エネルギーを必要とする厚物金属や大型ワークの内部検査に特化。
分解や切断が困難な重厚な対象物でも、深部まで詳細に可視化し、内部欠陥の見落としを防ぎ、検査工程の効率化と、品質保証体制の構築を後押しする。
| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 最小焦点寸法※1 | 80μm |
| 最大管電流 | 公式HPに記載なし |
| スキャン サイズ※2 |
φ600x700mm |
| 耐荷重 | 50kg |
| 本体サイズ | 公式HPに記載なし |
| 本体重量 | 公式HPに記載なし |
※1 焦点サイズについて、ZEISS METROTOM 1500 225kVは、ISO15708の規定に基づく数値、MUX-6410はJIMAチャートに基づく数値を記載しています。
※2 スキャンサイズについて、ZEISS METROTOM 1500 225kVはオプション機能を使用した場合の測定範囲、TXS450はストロークをそれぞれ掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
主な撮影対象
環境への配慮やコスト削減として自動車業界ではマルチマテリアル化が進んでいますが、ZEISS METROTOMは、約4μmの分解能と225kVもの管電圧により、鋳鉄・アルミニウム合金・樹脂・繊維など複数の素材が組み合わさっている(マルチマテリアル)部品や精密機械部品の撮影を得意としています。
最大管電流が3,000uAの高電流と独自の散乱線補正機構及びソフトウェアによるアーチファクトの低減技術により、撮影データのノイズが少ないことから必要な透過力が異なる部品や複雑な形状の製品でもクリアなスキャンが可能。開発時の微調整や品質管理時の不良位置の特定などに活用でき、開発のスピードやコスト削減に貢献します。
開発・品質管理の特徴として、CT撮影と同時に寸法測定ができることが挙げられます。自社で開発しているソフトウェアにより、三次元測定機やCADとの連携も可能。さらに、分解能・管電圧・管電流のバランスにより、寸法精度も高く、金型成形・プラスチック製造などで試作や初回部品検査のスピードアップ、品質管理の作業効率アップに貢献します。
特に、製造中に不良が発生すると、再加工や再検査、原因解析などの追加工数がかかりますが、ZEISS METROTOM一台でCT撮影と寸法測定を同一プラットフォーム上で実施できるため、試作・初回検査における「再測定」の手戻りをなくし、開発サイクルを加速させます。
| ZEISS METROTOM 1500 225kVのスペック詳細 | ||
|---|---|---|
| 測定範囲 ※径方向に最適化した場合 |
Φ615mm × h800mm | |
| 最大管電圧 | 225 kV | |
| 最大管電流 | 3,000uA | |
| 最大出力 | 500 W | |
| 測定精度(VDI/VDE2630準拠) ※CTスキャンモード |
E:8 μm + L/100 SD:4 μm + L/100 PS:3µm/PF:4µm | |
| 最小焦点寸法 | 7 μm | |
| 最大搭載重量(耐荷重) | 50kg | |
| 本体サイズ | 3700mmx1810mmx2440mm | |
| 本体重量 | 6,600 kg | |
| 価格 | 公式サイトに記載がありません | |
※対象物の材質(密度)や大きさ、配置角度により、実際に得られる解像度や透過性能は異なります。実機での再現性については、必ず各メーカーにお問い合わせください。
肉厚解析のイメージ
マテリアルアーチファクトの低減のイメージ
検査時間の長さが課題だった
愛知県碧南市で自動車部品の試作を手掛ける加々良クリエイトでは、鋳造から検査までを一貫して行う体制を整えていましたが、検査工程の効率化が課題でした。初品立上時の「寸法測定」「形状判定」「内部欠陥確認」という3つの検査において、それぞれ異なる計測機器を使用していたため、工程を一つずつ順番に進めるしかなく、合計8時間の所要時間を短縮できずにいました。
また、内部構造を確認する際は製品を切断する必要があり、納品物となる流動品の全容把握には限界がありました。
検査工程の効率化と
高精度化を実現
METROTOM 1500 225kV G3の導入により、1回のスキャンデータから寸法・形状・内部の状態を同時に抽出できる体制を整えました。これにより、従来は直列で行っていた複数の検査工程を並列で処理することが可能となり、大幅な工数削減と短納期化を実現しています。
さらに、製品を破壊せずに内部空間を高精度に計測できるようになったことで、切断が許されない流動品検査においても高い品質保証を提供できるようになりました。この高度な検査体制は、顧客からの信頼獲得と業務拡大の大きな足掛かりとなっています。
※参照元:カールツァイス公式HP(https://www.zeiss.co.jp/metrology/industries/success-stories/kagara-create.html)
光学・精密機器分野において広範な測定ソリューションを展開する企業です。マルチマテリアル化が進む自動車業界に対し、CT装置、X線顕微鏡、三次元測定機といった多様な装置を提供し、部品の内部構造から外郭まで多角的な計測を支援しています。 また、自社開発のソフトウェアをCT撮影と解析に活用することで、複雑なデータの可視化と品質管理の効率化を両立するデジタルワークフローを実現しています。
| 会社名 | カールツァイス株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都千代田区麹町2-10-9 住友不動産麹町ビル4号館 |
| 電話番号 | 0570-02-1310 |
| 公式URL | https://www.zeiss.co.jp/metrology/home.html |
主な撮影対象
電子機器の小型化・高機能化に伴い、内部構造はより微細かつ高密度になっていますが、MUX-6410は、160kVの高電圧出力と0.5μmのナノレベル分解能を兼ね備えた「開放管ナノ-マイクロマルチフォーカスX線源」を搭載しています。これにより、X線を透過しにくいセラミックや金属部品と、微細なアルミワイヤや樹脂構造が混在する「透過しやすさが極端に異なる」サンプルでも、白飛びや黒つぶれを抑えたクリアな観察が可能です。
特に、積層セラミックコンデンサやパワー半導体といった、高い透過力と精細な解像度の両方が求められる次世代デバイスの不具合解析において、従来機では困難だった内部欠陥の特定を強力に支援します。
MUX-6410の特徴は、用途に合わせてステージを切り替えられる拡張性にあります。高分解能な3方向断面観察が可能な「直交型CTユニット」に加え、最高400℃までの加熱が可能な「加熱装置ユニット」を簡易的な着脱で使い分けることが可能。これにより、常温での構造観察だけでなく、リフロー工程を模したヒートサイクル時のリアルタイムな挙動(はんだ爆ぜや部品の浮き)の動画保存まで、1台のプラットフォームで完結します。
開発段階における「なぜ不具合が起きたか」という静的な解析から、「いつ不具合が起きるか」という動的なプロセス評価までを一気通貫で行えるため、評価工数の大幅な削減と製品の市場投入スピードの向上に直結します。
| MUX-6410のスペック詳細 | ||
|---|---|---|
| 種類 | 自社製開放管 LaB6フィラメント | |
| 分解能 | 0.5μm(JIMAチャート保証) 0.5/0.7/1.0/2.0/3.0μm分解能切り替え機能付き |
|
| 菅電圧/菅電流 | 40~160kV/10~200μA | |
| 種類 | 600万画素フラットパネル | |
| 可動域 | Z軸:300mm T軸:-5°~60° | |
| 幾何倍率(最低-最大) | 2.0倍ー1200倍(モニター倍率7200倍) | |
| カメラ分解能(デジタルズーム未使用) | 幾何倍率1200倍時 0.04μm/画素 | |
| ステージサイズ | 340×340mm | |
| 外形寸法と重量 | 装置本体1594(W)x1787(D)x2064(H)mm 本体重量3000kg 床耐荷重1100kgf/m2 |
|
| ユーティリティ | 電源:AC200V±10% 50A エアー:0.4~0.5Mpa Φ6mmチューブ | |
| 価格 | 公式サイトに記載がありません | |
※対象物の材質(密度)や大きさ、配置角度により、実際に得られる解像度や透過性能は異なります。実機での再現性については、必ず各メーカーにお問い合わせください。
0402セラミックコンデンサの
CT観察
セラミックコンデンサの基板接合状態
公式サイトに記載がありません。
自動認識技術とX線検査技術を軸に事業を展開する総合メーカーです。自社開発の高輝度なX線源を搭載したCT装置や透過検査装置を提供し、自動車部品やリチウムイオン電池などの品質管理、研究開発を支援しています。ハードウェアに加え、画像処理や解析を行うソフトウェア、さらにRFIDやバーコードによる管理システムを組み合わせることで、製造現場の検査から工程管理までを一貫してサポートしています。
| 会社名 | 株式会社マーストーケンソリューション |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都新宿区新宿1-8-5 新宿御苑室町ビル |
| 電話番号 | 03-3352-8560(代表) |
| 公式URL | https://www.mars-tohken.co.jp/ |
主な撮影対象
自動車の電動化や軽量化に伴い、エンジンブロックや大型の鋳造部品、さらには高密度な金属筐体に保護された電子ユニットなど、検査対象の大型化・複雑化が進んでいます。TXS450 Mini/Micro/Dualは、最大450kVという管電圧を備え、従来の225kVクラスでは透過が困難だった厚肉の鉄鋼材や大型アルミ鋳造品でも、芯まで貫通する強力な透過力を発揮します。
さらに、高分解能な「マイクロフォーカス」と高効率な「ミニフォーカス」の両方を1台に搭載可能なカスタムシステムにより、微細なクラックの特定から大型部品全体の構造観察まで、対象物を選ばない柔軟なスキャンを実現。開発工程での設計検証や、品質管理における致命的な内部欠陥の早期発見に寄与し、製品の信頼性向上と開発期間の短縮を強力にバックアップします。
TXS450シリーズの大きな特徴は、既製品の枠にとらわれない「マニピュレータの自由設計」にあります。最大50kgまでの耐荷重と広範囲なストローク(φ600mm×700mm)をベースに、ユーザーの検査ラインやワーク形状に合わせたステージ構築が可能です。これに高精細な固体検出器型ラインセンサーや大型フラットパネルを合わせることで、ノイズを抑えた極めてクリアな断層画像を取得できます。
特に、大型の金属製品は内部の密度差が激しく、一般的なCTでは画像がボケやすい傾向にありますが、同システムは高出力線源と高度な画像処理の連携により、正確な肉厚測定やボイド解析を可能にします。これにより、試作段階での手戻り削減はもちろん、鋳造条件の適切化や量産品の抜き取り検査において、高い解析精度と業務効率化をもたらします。
| TXS450 Mini/MicroDualのスペック詳細 | ||
|---|---|---|
| X線装置 | 管電圧 /焦点寸法 Micro:450kV/450W/80μm Mini:450kV/1500W/1000μm |
|
| マニプレータ | ストローク/耐荷重 φ600mm X 700mm / 50kg |
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| 画像システム | フラットパネル 8~16インチ 高密度タイプ |
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| CT装置 | スキャンタイプ ローテーション / オフセット 180度・360度 / コーンビーム |
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| CT装置 | データ出力 TIF、STL、VGL |
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| キャビネット | シールドボックス 漏洩線量:2.5μSv/h 以下 |
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| 価格 | 公式サイトに記載がありません | |
※対象物の材質(密度)や大きさ、配置角度により、実際に得られる解像度や透過性能は異なります。実機での再現性については、必ず各メーカーにお問い合わせください。
モーター
ロボット模型
公式サイトに記載がありません。
X線技術を用いた非破壊検査装置の設計・製造・販売を行う技術企業です。自動車や航空宇宙、電子機器などの幅広い産業に向け、CT装置やX線透視装置を提供しています。顧客の要望に合わせたカスタム仕様の装置開発に強みを持ち、高出力X線源を活用した大型部品の内部観察も可能です。 装置販売に加え、受託スキャンサービスや非破壊検査資格の教育・コンサルティングも手掛け、技術面から品質管理を包括的に支援しています。
| 会社名 | テスコ株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 神奈川県横浜市港北区新横浜3-8-11メットライフ新横浜ビル |
| 電話番号 | 045-475-1081 |
| 公式URL | https://www.tesco-ndt.co.jp/ |

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。