医学・動植物研究 産業用CT導入事例

医学・動植物研究分野における産業用CTの導入事例を紹介します。特別天然記念物の三次元データ化や微細な骨格構造の解析、大量標本の自動スキャンなど、非破壊による高精度な内部解析の活用実績をまとめました。学術研究やアーカイブ構築のヒントとしてお役立てください。

JMCの産業用CTを活用した事例

全長731mmの特別天然記念物を
非破壊で三次元化

オオサンショウウオのCT画像
引用元:JMC公式HP
https://www.jmc-ct.jp/case/case10-giantsalamander/

大分県宇佐市が保管する特別天然記念物のオオサンショウウオに対し、ミリフォーカスCTを用いたスキャンを実施した事例です。分割撮影したデータを結合するイメージング機能により、全長731mmに及ぶ個体全体の三次元データ化を実現しました。

生成された立体データから内部構造を観察し、消化管に残っていたカエルの骨格などを解剖することなく特定。取得したデータは汎用フォーマットへ変換され、教育機関における実物大の立体模型製作など、多角的な用途で活用されています。

NSSの産業用CTを活用した事例

微細な海綿骨の内部構造を
短時間で三次元化

ウシ海綿骨のCT画像
引用元:NSS公式HP
https://nssndt.com/xrayct/case_study/

基礎医学研究に用いられるウシ海綿骨をスキャンした事例です。微細な骨梁構造まで鮮明に描出できるマイクロフォーカスX線CTを使用しています。

従来の非破壊検査ではアプローチが困難であった複雑な多孔質構造を、約30分という短時間で三次元データ化。取得したボリュームデータは解析ソフトウェアに取り込まれ、超音波伝播特性などを検証するシミュレーション研究に生かされています。

Nikonの産業用CTを活用した事例

自動搬送システムによる膨大な標本の
効率的なデータ化

動物相のX線CTスキャン画像
引用元:Nikon公式HP
https://industry.nikon.com/ja-jp/case-studies/nikon-automated-x-ray-ct-accelerates-the-natural-history-museum-of-londons-research-archiving-and-industrial-services/

ロンドン自然史博物館において、動植物や化石など多岐にわたる膨大な標本を、オートローダー(自動搬送装置)搭載のCTでスキャンした事例です。

複数の対象物を順次搬送する機能により、夜間や週末を利用した無人での連続スキャン体制を構築しました。

時間のかかる高解像度撮影においても十分な処理能力を確保し、貴重なコレクションのデジタルアーカイブ化を推進。1カ月平均で約100品目のスキャンを実現し、研究活動の効率化と包括的なデータベース構築に貢献しています。

自社への導入に向けて:産業用CTの費用相場

ここまでの事例のように、医学・動植物研究における貴重な標本の非破壊解析やデジタルアーカイブ構築に産業用CTを活用したいと考えた際、具体的な検討ステップとして気になるのが「装置の導入費用」ではないでしょうか。

産業用CTは、対象となる生体組織や標本のサイズ、必要とされる解像度(マイクロフォーカス性能など)によって最適なモデルが異なり、それに伴い価格帯も変動します。研究予算の策定や導入計画の目安として、以下のページで費用相場を詳しく解説しています。

まとめ:産業用CTは
貴重な標本の非破壊解析と
デジタルアーカイブ化を実現する

医学・動植物研究における産業用CTは、貴重な生体標本や化石を解剖・破壊することなく、内部構造を精密な三次元データとして保存・解析する目的で活用されています。微細組織の迅速なモデリングや、自動搬送機能を活用した無人での連続スキャンなど、研究業務の省力化とアーカイブ構築の効率化が可能です。

従来の解剖や外観観察に限界を感じ、対象物を維持したままでの高精度な内部解析を求めている研究現場において、産業用CTの導入は非常に有効なアプローチとなります。

本分野における調査対象は、微細な昆虫や小動物の骨格から、大型の生体標本まで多岐にわたります。小動物や特定の臓器など、比較的サイズが限られX線が透過しやすい対象物であれば、研究室や実験室にも設置しやすい卓上モデルでも十分に精細なデータが得られるケースが多く見られます。

まずは研究目的(解像度や対象物のサイズ)に合った装置を見極め、実際の標本で解析に耐えうる鮮明な画像が得られるか事前にテスト撮影を行うことが重要です。以下では、撮影対象別の特性に適した産業用CTを3つのパターンに整理していますので、装置選定の目安としてご活用ください。

撮影対象物から探す
産業用CT3選
アルミなどの軽金属や
プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
マルチマテリアルや
複雑形状部品など
部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
測定に特化した設計で
精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
  • 三次元測定やCADとの連携により、寸法・形状・幾何公差を測定が可能で、不具合の特定や開発期間の短縮につながる。
厚物金属や
溶接構造部品など
高密度で透過しにくいなら
UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。