産業用CTによるボイド解析の仕組みと活用法

産業用CTを導入する際、有効な機能となるのが専用ソフトウェアを用いた「ボイド(気泡・空隙)解析」です。アルミダイカストや電子基板(PCB)内部に存在する数ミクロン単位の気泡やブローホールを非破壊で数値化し、従来の目視による破壊検査からの脱却に貢献します。

本記事では、X線透過を利用したボイド自動検出の仕組みや、カラーマップ化の原理について詳しく解説していきます。

産業用CTにおける「ボイド」とは?

産業用CTで検査対象となる「ボイド(ポロシティ)」とは、製品の製造過程で内部に生じてしまう微小な空洞や気泡を指します。

内部欠陥(ボイド)をCTで検査する必要性

製造工程において、アルミダイカストなどの鋳造品に発生する「ポロシティ(巣)」や、樹脂成形品およびはんだ内部の「ボイド(気泡)」は、製品の強度や品質に悪影響を及ぼす要因です。

これらは安全上重要な部品において重大な内部欠陥となる可能性があるため、CT画像によって正確な空間位置と形状を把握することが求められています。

ソフトウェアによるボイド解析・欠陥解析の仕組み

取得したCTデータを専用の解析ソフトで処理し、内部の空隙をボイドとして認識する仕組みについて解説します。

素材と空気の「密度の差」を利用した自動検出

CTデータを専用ソフトで解析する際、基本となるのが素材と空気の「密度の差」を利用した検出原理です。X線は対象物の密度によって透過・吸収される量が異なります。

密度の高い金属や樹脂などの素材部分はX線を吸収しやすく、空隙(空気)部分は透過しやすいという性質を活用し、ソフトウェアがその境界を識別することで空気の領域をボイドとして自動検出する形です。

体積に対する「ボイド率」の算出とカラーマップ化

自動検出されたボイドデータをもとに、製品全体の体積に対する「ボイド率(ポロシティ)」といった詳細な統計情報を算出することが可能です。

さらに、3Dデータ上で欠陥の大きさや分布をカラーマッピングし、視覚的に把握しやすくする機能も備わっています。近年では、独自開発された専用のボイド(空洞)検出ソフトが標準で付属し、追加費用なしで高度な可視化を行えるCTモデルも登場してきました。

ボイド解析が活躍する代表的な業界・用途

ボイド解析は高い信頼性と安全性が求められるモノづくりの現場において、すでに欠かせない技術として広く活用されています。具体的な業界での活用例を紹介します。

自動車部品の強度評価・品質管理

安全上重要なダイカスト部品等の鋳造部品において、内部のポロシティや鋳巣の詳細な解析が行われています。「BDG P 203」などの業界標準規格に基づいた評価を実施することにより、自動車用途における鋳造品の厳格な品質基準を満たしているかどうかの確認に役立ちます。

電子基板の導通不良・はんだクラック検査

電子部品やプリント基板(PCB)においては、パッド表面のはんだ不良や、数ミクロン単位の微細なブローホール(ボイド)の解析に活用されるケースが少なくありません。内部構造を精緻に可視化することで、導通不良やはんだクラックといった不良原因の迅速な特定に寄与しています。

高精度なボイド解析を行うためのポイント

正確なボイド率の算出や微小欠陥の検出を実現するためには、CTスキャンを実施する際の条件設定に留意する必要があります。

ボイドサイズに応じた撮影条件とクリアな画像取得

見つけたいボイドの大きさに応じて、適切な解像度(ボクセルサイズ)を設定することが重要です。また、高密度な金属部品などを撮影する際に発生しやすいアーチファクト(ノイズ)を極力抑え、コントラストの高い鮮明な画像を取得できれば、解析ソフトによる誤検出の防止へとつながります。

まとめ

目視や従来の破壊検査から、産業用CTと解析ソフトを組み合わせた定量的なボイド解析へ移行することは、製品の安全性向上や品質保証体制の自動化に大きく貢献します。近年では高額なオプションソフトを別途購入しなくても、ボイド検出ソフトが標準搭載された導入しやすいモデルも登場しており、コストを抑えて検査プロセスを高度化できる環境が整いつつあると言えるでしょう。

目視検査の限界や、破壊検査の手間・コストにお悩みの際は、この機会に産業用CTを活用した品質保証体制へと一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

撮影対象物から探す
産業用CT3選
アルミなどの軽金属や
プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
マルチマテリアルや
複雑形状部品など
部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
測定に特化した設計で
精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
  • 三次元測定やCADとの連携により、寸法・形状・幾何公差を測定が可能で、不具合の特定や開発期間の短縮につながる。
厚物金属や
溶接構造部品など
高密度で透過しにくいなら
UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。