産業用CTのX線検出器の種類と特徴

産業用CTを導入する際、装置の性能を大きく左右するのが「X線検出器(ディテクタ)」です。カタログ等で目にする「フラットパネル(FPD)」や「イメージインテンシファイア(I.I.)」にはそれぞれ異なる特徴があり、検査対象に合わせて適した方式を選ぶ必要があります。

本記事では、X線検査において解像度や撮影速度等の性能を決定づける検出器の種類と選び方について解説します。

産業用CTの「X線検出器(ディテクタ)」とは?

産業用CTにおけるX線検出器は、X線発生器から照射されて検査対象物を透過したX線を捉え、電気信号に変換して画像データを生成する重要な役割を担っています。

X線を画像データに変換する検出器の役割

検査対象の材質や厚みによって、X線の透過量は異なります。検出器は、この透過したX線の強弱を検出し、内部構造を濃淡画像として可視化する基本原理を持っています。つまり、対象物の透視画像や断面画像を作り出すための「目」として機能する部品だといえるでしょう。

主なX線検出器の種類と特徴

現在、産業用CTやX線検査装置で主流となっている代表的なX線検出器には、いくつかの方式が存在します。それぞれの特徴を把握し、自社の検査目的に応じて適切なものを選択することが欠かせません。

フラットパネルディテクタ(FPD):ゆがみが少なく高精細な画像

周辺部のゆがみがなく、ダイナミックレンジが広いため高画質での撮影が可能な検出器です。視野全体で高精細・高コントラストな画像が得られる特性から、微小な欠陥や電子基板などの詳細な観察に最も適しているといえます。さらに近年では、1,000万画素を超える高精細なFPDを搭載したモデルも登場しており、広い視野を保ったまま微細な構造をより鮮明に捉えることが可能になりました。

イメージインテンシファイア(I.I.):動きのある対象や高速スキャン向け

応答速度が速くリアルタイム透視に向いている方式です。リアルタイムでの動画観察や高速スキャンに優れており、インライン検査などでタクトタイムが求められる場面で有効に働きます。一方で、構造上どうしても画像の周辺部にゆがみが生じる性質がある点を理解しておく必要があります。

ラインセンサ:大型・長尺部品や散乱線対策に有効

面ではなく「線(ライン)」でX線を検出して画像を繋ぎ合わせる方式を採用しています。この仕組みにより散乱線の影響を排除しやすく、高密度・大型部品の断面取得において真価を発揮します。そのため、大型の自動車部品や長尺物の検査に適しており、ノイズの少ないクリアな断面画像を得たい場合に大きなメリットをもたらすでしょう。

自社の検査対象に合わせた検出器選びのポイント

X線検出器の選定において「絶対にこれが良い」という単一の正解はありません。検査対象(素材、大きさ)と目的(高画質か速度か)のバランスから適切な検出器を選ぶことが重要です。

微細な欠陥解析には「FPD」、高速なインライン検査には「I.I.」、大型部品や高密度材料には「ラインセンサ」といったように、対象物のサイズや材質、検査の優先事項(画質かスピードか等)を見極めて適切な検出器を選択することが、精度の高い品質保証に直結します。

撮影対象物から探す
産業用CT3選
アルミなどの軽金属や
プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
マルチマテリアルや
複雑形状部品など
部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
測定に特化した設計で
精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
  • 三次元測定やCADとの連携により、寸法・形状・幾何公差を測定が可能で、不具合の特定や開発期間の短縮につながる。
厚物金属や
溶接構造部品など
高密度で透過しにくいなら
UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。