産業用CTのカタログや資料では「ボクセル」や「空間分解能」といった専門用語がよく使われます。両者の意味を混同すると、装置選定の際に判断を誤りかねません。本記事では、それぞれの定義の違いをわかりやすく解説するとともに、高解像度化に伴うデータ容量の注意点も紹介します。
産業用CTは、対象物を少しずつ回転させながら撮影した、複数の2次元X線投影画像をもとに立体構造を描き出します。撮影された投影画像は、逆投影などの再構成処理を経て、3Dオブジェクトの仮想的な断面にあたる断層画像(スライス画像)に変換される仕組みです。
得られた多数の断層画像をソフトウェアで結合することで、対象物全体の3次元データが完成します。こうして作られた3Dデータの大きさを表現する際、平面画像のピクセルに相当する立体の最小単位として用いられるのが「ボクセル(ボリュームピクセル)」です。
平面の画像データは、正方形の「ピクセル(画素)」が縦横に並ぶことで構成されます。これに対して3次元データを構成する立体の最小単位は、縦・横・高さの情報を持つ「ボクセル(Volume Pixel)」です。ピクセルが平面上の位置情報しか持たないのに対し、ボクセルは奥行きの体積情報を持つ点で異なります。
産業用CTで得られる3Dデータは、こうしたボクセルが数多く並ぶことによって、内部の形状や欠陥の位置を立体的に観察できるようになる仕組みです。
ボクセルサイズを小さく設定するほど、画像が鮮明になると考えられがちですが、この認識には注意が必要です。ボクセルサイズは、撮影時の設定によって変えられる、3Dデータを構成するボクセル(立方体)の一辺の長さを指します。
一方、空間分解能とは、装置が近接した2点をどれだけ分離して認識できるかを示す性能指標です。この性能は、主にX線の焦点サイズや検出器の性能によって左右されます。両者は異なる概念であり、ボクセルサイズを小さくしても、装置が持つ空間分解能を超えて画像が鮮明になるわけではありません。
産業用CTの「空間分解能」と
「コントラスト分解能」の違い
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ボクセルサイズは、撮影時にFOD(X線焦点から対象物までの距離)とFDD(X線焦点から検出器までの距離)の比率を調整することで変更できる、いわば設定上の数値です。一方、空間分解能はX線源の焦点サイズや検出器の性能に依存する、装置そのものが持つ限界の性能を指します。焦点サイズがボクセルサイズを上回る状態は「オーバースポット」と呼ばれ、この場合はボクセルサイズ相当の解像度が得られず、画像がぼやける要因です。
ボクセルサイズをどれだけ細かく設定しても、装置の焦点サイズがそれを上回っていれば、画質の向上にはつながりません。
ボクセルサイズを細かく設定するほど、同じ範囲を撮影した際に含まれるボクセルの数が増加します。ボクセルの数が増えれば、データ全体として保持すべきグレー値情報の総量も増えるため、3次元データ全体の容量が大きくなる仕組みです。
データ容量が肥大化すると解析や保存をする際に、高い処理性能のPCや大容量のストレージが必要となり、データの読み込みや再構成にかかる時間も長くなります。高解像度な撮影を目指すことは、必ずしも検査や開発のスピードにつながるとは限りません。
ボクセルは縦・横・高さを持つ立体であるため、ボクセルサイズ(一辺の長さ)を半分にすると、同じ範囲に収まるボクセルの数は2の3乗、つまり8倍に増加します。つまり、ボクセルの総数は理論上8倍に増える計算です。ただし、実際のデータ容量はビット深度や圧縮の有無によっても左右されるため、単純に8倍になるとは限りません。
また、データ容量が大きくなりすぎると、ハードウェアの制約によって全データを一度に3D表示できず、解析ソフト側で1/2や1/4に間引いて読み込む対応が必要になる場合があります。撮影のたびにこうした調整が発生すると、現場でその場に確認するスピーディな検査サイクルが損なわれてしまうでしょう。
ボクセルサイズは、装置が持つ空間分解能を超えない範囲で細かく設定してこそ画質の面で有利になり、データ容量や処理速度とのトレードオフも伴います。そのため、むやみに最小の設定を目指すのではなく、検査対象物の大きさや材質、確認したい欠陥の種類に応じてボクセルサイズを選ぶという視点です。
解像度とデータ量のバランスを踏まえた設定は、品質管理や研究開発における分析の精度を保ちながら、現場での運用効率を維持することにもつながります。
検査対象や目的によって、適したボクセルサイズの目安は異なります。半導体パッケージ内部のはんだクラックなど、サブミクロン単位の微小な欠陥を解析したい場合は、マイクロフォーカスやナノフォーカスなど微小な焦点サイズを持つX線源による高い空間分解能と、ごく小さなボクセルサイズが必要です。
一方、製品全体の寸法測定や肉厚確認、アルミダイカストに生じる比較的大きな鋳巣(ボイド)の検出といった、日常的な不具合評価が目的であれば、対象物や装置の条件によって前後するものの、0.1mmから0.2mm程度の設定でも対応できる場合があります。
ボクセルサイズと空間分解能は、混同されやすいものの、それぞれ異なる意味を持つ用語です。両者の違いを理解したうえで、自社が何を検査したいのかを明確にすることが、装置選定の第一歩です。過剰なスペックにとらわれず、卓上型やエントリーモデルなど、日常の検査を軽快に回せる装置を選ぶことも、産業用CT導入を進めるうえでの一つの視点です。
当メディアでは、検査したい対象物や目的に合わせて、独自の視点で産業用CTメーカーを調査・ピックアップしています。焦点サイズや管電圧といったスペック面も踏まえ、導入の検討材料として合わせてご確認ください。
✓ 導入未定でも大歓迎です。
まずは「どんな風に見えるか」各社のテスト撮影等をご検討ください。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。