文化財のCT検査とは

貴重な文化財や考古学資料の調査において、保存状態を維持したまま内部構造を把握したいと考える研究者は多いでしょう。産業用CTを活用すれば、資料を切断したり分解したりすることなく、内部の断面や三次元構造を詳細に観察できます。

本記事では、文化財調査でCT検査が用いられる理由や具体的に得られる情報、従来の調査手法との違い、そして撮影前に確認すべきポイントを解説します。

文化財の調査にCT検査が用いられる理由

文化財の調査では、学術的な価値を損なわないよう、資料に傷をつけない非破壊の調査手法が求められます。産業用CTは、対象物に対して複数方向からX線を照射し、得られた透過データをコンピュータ上で三次元的に再構成する装置です。外観からは見えない内部の断面画像や立体データを構築できるため、貴重な現物を壊すことなく内部構造を詳細に観察できます。また、取得したデータはデジタル形式で保存できることも大きな利点です。これにより、他の資料との形状比較や経年変化の客観的な解析が容易になり、将来的な修復計画の立案や学術研究を推進するための確かな材料となります。

文化財のCT検査で確認できる内部情報

空洞・接合部・内部にある部材を確認する

仏像や木製資料、土器などを調査する際、X線が透過する材質・サイズであれば、内部の空洞や部材同士の接合状態を切断せずに確認できます。産業用CTを用いることで、表面に隠れた構造の位置関係や空洞の広がりを三次元データとして可視化可能です。外観の観察だけでは推測にとどまる立体的な配置を正確に把握できるのは、非破壊検査ならではの強みといえます。取得した三次元データによって内部部材の連続性を多角的に捉えられるため、安全な取り扱い方法の決定や、修復作業に向けた具体的な方針を検討する際に役立ちます。

製作・加工の痕跡を調査する手がかり

考古学資料の調査において、内部に残された接合痕や粘土の重ね合わせ構造などをCT画像から読み解くことで、当時の製作工程を推測する手がかりを得られます。取得された構造情報を研究者が分析し解釈を加えることで、外観からはわからない製作技術の解明に繋がります。ただし、実際に得られる情報の精度は、資料の材質や密度、全体構造、そして撮影条件に大きく左右されます。そのため、求める解像度や観察対象に合わせて、適切な出力や精度を持つCT装置を選定することが重要です。

文化財の調査方法をCT検査と比較するとどう違う?

3Dスキャナとの違い

3Dスキャナは、対象物の外形や表面の立体的な形状を高精度に計測し、デジタルデータ化することに長けた装置です。一方の産業用CTは、X線の透過性を利用して内部の断面や三次元構造を取得します。表面の幾何学的な形状や色彩情報を記録したい場合は3Dスキャナが適していますが、内部の接合部や見えない構造を確認したい場面ではCT検査が有効です。記録したい対象が外観なのか内部構造なのかに応じて、各装置の特性を理解した使い分けが求められます。

切断調査との違い

切断調査は、資料を物理的に分割し、内部の断面や材質を直接観察できる確実な手法です。しかし、貴重な資料に不可逆な加工を施さなければならないという課題があります。対するCT検査は、切断を伴わずに内部情報を非破壊で取得できるという特徴があります。資料の現物をそのまま保全しながら内部構造を把握できるため、文化財のように原形を留めるべき対象には非常に適しています。実物に触れて材質を調べるか、画像を介して構造を観察するかで得られる情報が異なるため、調査の目的に合わせて適切な手法を判断する必要があります。

文化財をCT撮影する前に確認したいポイント

文化財や考古学資料をCT撮影するにあたり、まずは資料の寸法や形状、材質、密度を整理し、CT装置の撮影エリア内に収まるかどうかを検討する必要があります。もろく崩れやすい資料を扱うケースでは、撮影時の固定方法や搬送経路の確保、温湿度管理といった保存環境への細心の注意も欠かせません。さらに、材質の密度や厚みによってX線の抜けやすさが変わるため、事前にテスト撮影を行い、目的の画像が得られるか検証することをおすすめします。確認したい構造や資料の条件を明確にすることで、必要な管電圧や解像度を備えた産業用CTをスムーズに絞り込めます。

SUMMARYまとめ
撮影対象に合った装置選びが重要

文化財や考古学資料のCT検査では、資料を破壊することなく、外観からは見えない空洞や接合部、製作の痕跡などを断面画像や3Dデータとして観察できます。表面形状の記録に優れた3Dスキャナに対し、内部構造まで詳細に確認できる点がCTの強みです。

一方で、文化財は材質や大きさ、密度が多種多様であり、確認したい内部構造の細かさによって必要な撮影条件も異なります。そのため、撮影したい資料の特性と取得したい情報を事前に整理したうえで、対象物に合った性能を持つ産業用CTを選ぶことが重要です。

当メディアでは、検査したい対象物や目的に合わせて、産業用CTメーカーを調査・ピックアップしています。導入の検討材料として合わせてご確認ください。

導入未定でも大歓迎です。
まずは実際のワークで「どんな風に見えるか」お試しください。

撮影対象物から探す
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プラスチック成形品など
低密度で透過しやすいなら
NAOMi-CTシリーズ
アールエフ
NAOMi-CTシリーズ
画像引用元:アールエフ公式HP
(https://rfsystemlab.com/product/industry/ct/280_380ct.html)
NAOMi-CT
Mサイズのスペック※2
最大管電圧 100kV
撮影サイズ※1 Φ151×H63~82mm
耐荷量 約10kg
本体サイズ 623×310×300mm
おすすめの理由
卓上サイズでその場で撮影可能
低価格で導入しやすいモデル
  • 卓上サイズ・シンプルな設計により308万円(税込/Mサイズ)と導入しやすい価格。工事をせずに研究室や事務所に設置できる。
  • 簡単な操作でその場で撮影・確認が可能。100kVの管電圧によりアルミ・プラスチック製の商品開発や考古学研究に活躍。
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部分ごとに厚みや材質が異なるなら
ZEISS METROTOMシリーズ
カールツァイス
ZEISS METROTOMシリーズ
画像引用元:カールツァイス公式HP
(https://www.zeiss.co.jp/metrology/systems/x-ray/3d-x-ray/metrotom-800-320-kv.html)
ZEISS METROTOM
1500 225kVのスペック
最大管電圧 225kV
撮影サイズ※1 Φ615×H800mm
耐荷量 50kg
本体サイズ 3700×1810×2440mm
おすすめの理由
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精密なCTスキャンができる
  • 測定室・品質管理室での運用を想定。密度が高めの異材質混在部品や精密部品の品質保証に特化。
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溶接構造部品など
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UXシリーズ
コメットテクノロジーズ・ジャパン
UXシリーズ
画像引用元:コメットテクノロジーズ・ジャパン公式HP
(https://yxlon.comet.tech/ja/products-ja/ux50)
UX50のスペック
最大管電圧 450kV
撮影サイズ※1 Φ600×H800mm
耐荷量 100kg
本体サイズ 2250×1770×2350mm
おすすめの理由
高出力・撮影可能範囲が広く
大型・高密度のワーク撮影に強い
  • 工場内や検査エリアで扱われる大型・高密度な鋳物部品や厚肉構造物に対し、高電圧による高い透過力で内部撮影が可能。
  • 広い視野で大型のワークでも全体を一度に把握することができ、欠陥の位置関係の把握や厚肉・高密度部の状態確認に対応。

電話番号は公式サイトに記載がありません

※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。