食品の開発や品質評価の現場では、製品を切断せずに内部を検査する手法が求められます。産業用CTを利用すれば、食品内部の構造を立体的に可視化し、気泡や空洞、密度の違いなどを詳細に把握できます。
本記事では、食品分野でCT検査が導入される背景や具体的に確認できる項目、従来の検査方法との違い、そして撮影時に注意すべきポイントを解説します。
食品の内部構造は外観から判断が難しく、包丁などで切断すると柔らかい組織が潰れて本来の姿を失うリスクがあります。そのため、状態を保ったまま内部を観察できる非破壊検査が重宝されています。
パンやスポンジケーキのような柔らかい食品は、切断時の圧力で断面が変形しやすいため、正確な構造を観察することが困難です。非破壊であるCT検査を用いれば、外圧を加えることなく食品本来の内部構造をそのままの状態で可視化できます。切断による影響を排除できるため、より正確な品質評価が可能になります。
試料を破壊せずに済むため、同じ個体を対象として時間経過や温度変化に伴う状態推移を繰り返し観察できます。たとえば、発酵過程での気泡の成長や、焼成前後の構造変化などを同一サンプルで追跡可能です。これにより、研究開発におけるデータ収集の効率が高まり、新たな評価手法の確立にも繋がります。
産業用CTは、X線の透過率の違いを利用して食品内部の構造や密度差を画像化します。ここでは、主にどのような項目を解析できるのかを整理しました。
焼き菓子やパンなどに含まれる気泡の広がり方、大きさのばらつきを三次元データとして立体的に観察可能です。また、製造過程で意図せず生じた空洞(ス)の特定も容易です。X線の吸収差を基に気泡率や気泡の直径分布を数値化することで、定量的な評価を行えます。これらのデータは、レシピの改良や製造条件を最適化するための客観的な判断材料となります。
食品を構成する成分や水分の偏りによって、X線の透過度合いには差が生じます。この特性を活かすことで、CT画像から内部の密度分布を把握可能です。多層構造を持つ食品や、パンに含まれる油脂・タンパク質など、成分による密度の違いを可視化したい場面で効果を発揮します。
ただし、どこまで詳細に成分を識別できるかは、対象物のコントラストやCT装置の性能に依存します。見たい情報の細かさに応じて、必要な解像度と解析ソフトの機能を事前に確認しておくことが、装置選定の重要なポイントです。
食品の内部観察には、切断検査や2D X線透過検査なども広く用いられています。それぞれの特性を理解し、目的に応じて最適な手法を使い分けることが大切です。
2D X線透過検査は、取得したデータを平面画像として出力するため、前後の構造物が重なって写り込み、正確な位置関係の把握が難しい場合があります。対するCT検査は、複数方向からの撮影データを立体的に再構成し、任意の断面を三次元で観察できる仕組みです。食品内部の特定の異物や空洞が「どの深さにあるか」といった奥行きの情報を得たい場合には、CT検査が適しています。
切断検査は、実物を直接目視できる手軽で確実な方法ですが、物理的な加工による組織の変形が避けられません。CT検査は実物を切り開くことはできないものの、対象物を本来の形状のままデジタル空間で輪切りにし、様々な角度から観察できるのが特徴です。物理的な変形リスクを避けたい場合はCTを、現物の質感や色味を直接確認したい場合は切断を選択するなど、求める情報に応じた使い分けが求められます。
食品は、含水量や密度、形状が極めて多様であり、温度変化や乾燥によって状態が変わりやすい特性を持っています。水分の多い試料はX線が透過しにくく撮影が困難になるケースがあるほか、冷凍や乾燥の過程で組織自体が変化してしまうことも珍しくありません。
そのため、事前の温度管理や乾燥対策など、撮影中の環境をいかに一定に保つかが重要になります。材質や密度によって得られる画像の鮮明さは異なるため、導入前には実際の食品を用いてテスト撮影を実施し、目的のデータが取得できるか実機で検証するとよいでしょう。
食品のCT検査は、対象物を切断せずに内部構造を3D画像として可視化できる非破壊検査です。気泡や空洞の分布、成分の密度差などを観察・数値化でき、食品の研究開発や品質管理の現場で強力なツールとして活用されています。
切断による組織の変形を防げるだけでなく、2D X線透過検査では把握しきれない奥行きの情報を取得できる点が強みです。一方で、食品の水分量や温度変化によって適切な撮影条件は異なるため、実際の試料を用いてテスト撮影を行い、求める精度で画像が得られるかを確認することをおすすめします。
当メディアでは、検査したい対象物や目的に合わせて、産業用CTメーカーを調査・ピックアップしています。導入を検討する際の参考としてぜひご活用ください。
✓ 導入未定でも大歓迎です。
まずは実際のワークで「どんな風に見えるか」お試しください。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。