EV(電気自動車)化の加速や環境規制に伴い、現在は「軽量化」「構造の複雑化」「安全性の両立」が強く求められている状況です。このように、高度な電装化が進む中では、製品内部の品質をいかに保証するかという点が大きな課題となっています。本記事では、自動車・輸送機器業界において産業用CTを導入するメリットなどを解説していきます。
自動車・輸送機器業界では、安全性の確保と環境対応の両立に向けて品質管理の難易度が高まっています。
たとえばブレーキやステアリング、サスペンションなどの部品においては、内部に生じた微小な巣(ボイド)やクラックが重大事故を引き起こす可能性があります。また、レーザー溶接や摩擦攪拌接合(FSW)、構造用接着剤を用いた異種材料接合(マルチマテリアル化)など、外観からは結合状態がわからない構造が増加しており、評価が困難になっているという課題もあります。
そしてEV化の加速に伴い、バッテリーセル内の歪みや短絡リスク、コネクタや基板の封止状態など製品を破壊・分解すると内部状態が変わってしまう部品の検査ニーズが高まっているという状況もあります。
自動車・輸送機器部品の品質管理においても、CT検査が用いられています。ここでは、CT検査を導入することによってどのような内容を確認することができるのか、という点について見ていきましょう。
エンジンブロックやミッションケース、足回り部品などの鋳造品において、内部に生じるガス巣の位置や体積、発生率について、3D空間上で色分け表示を行えます。この検査によって、規定サイズ以上の欠陥に加えて、ストレスが集中しやすい危険部位への欠陥の存在についても自動で判定することができます。
鋼板やアルミ材の接合面における未結合領域や溶接部の空洞、構造用接着剤の塗布かすれやボイドなども非破壊で詳細に観察することができます。近年導入が進む大型一体成形(ギガキャストなど)部品や複雑な溶接構造物において、製品を破壊せずに接合強度や内部品質の裏付けを得る手段としても、CT検査が欠かせないものとなっています。
リチウムイオン電池の内部における電極シートの曲がりや巻き乱れ、異物混入のチェックのほか、防水コネクタ内のパッキン(Oリング)の潰れ具合、ハーネス接続部の圧着状態といったように、完成品として組み立てられた状態のままで幾何学的な不具合の検証を行うことが可能となります。
従来の検査手法との比較
| 検査項目 | 産業用CT検査 | 2D X線透過検査 | 断面切断観察(破壊検査) |
|---|---|---|---|
| 検査方式 | 非破壊(3D) | 非破壊(2D) | 破壊 |
| 内部欠陥の位置・立体判定 | 〇正確に3D特定可能 | △構造が重複し特定困難 | 〇切断面のみ確認可能 |
| アセンブリ(組み立て)評価 | 〇内部パーツの干渉・隙間を立体測定 | ×像が重なり判別不可 | ×切断・分解で状態が変化 |
| 評価後の製品出荷 | 〇可能(良品判定品) | 〇可能 | ×不可(製品廃棄) |
従来用いられてきた断面切断観察の場合、切断箇所のみの評価となります。検査後には製品を廃棄せざるを得ないために抜き取り検査に限定され、分解時には内部状態が変化してしまうという課題もありました。また、2D X線透過検査は、複雑な部品の検査を行った場合に透過像が平面上で重なってしまい、奥行きや干渉の特定が難しいという課題があります。
対して産業用CT検査の場合には非破壊で内部欠陥や組み付け状態について3Dで測定を行うことができ、良品はそのまま出荷が可能です。
自動車・輸送機器部品の分野において、産業用CTを導入した場合にはさまざまなメリットが期待できます。ここでは、どのようなメリットが考えられるのかという点を具体的に紹介していきます。
ダイカスト金型の試作段階において、製品の切断を行わずに内部の巣や変形の発生原因について3Dで可視化ができます。欠陥の位置や分布から発生原因(溶湯の流れや冷却速度、ガス抜けなど)を即座に特定できるため、製造条件や金型設計に迅速にフィードバックできます。このことから、金型修正の手戻りを最小限に抑えられ、量産立ち上げまでのリードタイム短縮が可能となります。
重要保安部品の検査データを、3Dデジタルアーカイブとしてそのまま保管できます。この点から、自動車業界で求められる厳格なトレーサビリティ要求に対しても、客観的な品質証明書(エビデンス)としてデータの提示を行えるため、出荷後の品質問題の発生を防止します。
産業用CTによりスキャンして取得した3D CTデータと設計CADデータを比較することによって、内部の肉厚分布について正確に測定できます(ウォール厚解析)。内部の幾何公差についても評価できるため、安全率に余裕を持ちすぎない「攻めた薄肉化・軽量化設計」が可能になるというメリットも期待できます。
EV化やギガキャスト、マルチマテリアル化といったように、自動車・輸送機器部品の分野においてはさまざまな変革が起こっています。このような中で、外観からは見えない内部品質を高精度に証明できる体制づくりは非常に重要であるといえます。産業用CTの導入によって、鋳巣の定量解析から溶接・接着の評価、電装品のアセンブリ確認まで非破壊で行うことが可能になります。このことでリコールリスクの低減や開発期間の短縮にも繋げられます。このように、さまざまなメリットが期待できる産業用CTの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。