航空宇宙や自動車、医療分野を中心に、これまで用いられてきた切削加工や鋳造では実現が難しい複雑形状の一体成形を可能とする技術として、「金属積層造形(金属3Dプリンタ)」の活用が拡大しています。しかし、自由な造形が可能である一方、「製品内部の品質をどのように保証するのか」という点が大きな課題となっています。
このような課題を解決する非破壊検査手法として欠かせないものとなっているのが「産業用CT検査」です。
多彩な形状の造形が可能な金属積層造形ですが、品質の管理についてさまざまな課題があるとされています。ここでは、金属積層造形における品質管理の課題について解説していきます。
金属積層造形(金属3Dプリント)では、レーザーや電子ビームによって金属粉末を急激に溶融・凝固させる過程において入熱不足による溶融不足やガスの巻き込みが生じることがあります。そうすると内部に微小なポロシティ(空洞・気孔)が発生します。 さらに、金属粉末を溶融・凝固させる過程で材料が収縮して造形物の内部に歪みが発生し、微細なクラック(割れ)につながる可能性も考えられます。このような内部欠陥は外観からは判別することができず、最終製品の機械的強度の低下などさまざまな影響を与えることがあります。
金属積層造形は、従来の切削や鋳造では不可能な複雑形状や中空構造を造形できるという強みがあります。しかし、造形中の熱変形や残留応力による内部流路の形状崩れや寸法歪みが生じることがあります。
さらに、内部に配置した支持材(サポート材)が、造形後の後処理工程で除去しきれず取り残されてしまうことによって、設計通りの性能や機能を発揮できなくなるリスクも挙げられます。
パウダーベッド方式(粉末床溶融結合法)などの金属積層造形の場合、造形完了後に製品内部から未使用の金属粉末を除去します。しかし複雑に入り組んだ流路や中空構造の場合、奥深くに金属粉末が残留・固着してしまうケースがあります。残留してしまった粉末は、実機を稼働させる際の目詰まりや異物の混入などのトラブルを引き起こす可能性が考えられます。
金属積層造形のCT検査は、製品の破損や切断を行わずに、ミクロン単位で内部の状態を詳細に観察・計測できる点が非常に大きな特徴といえます。ここでは、金属積層造形においてCT検査を用いることで、どのような評価や検知を行えるのか、という点についてまとめました。
CT検査を行うことによって、金属積層造形品の内部に存在する微小な空洞(ボイド・ポロシティ)や割れの位置、サイズ、体積、発生密度について、3D空間上で正確に捉えることができます。専用の解析ソフトウェアを用いて体積率の自動算出や欠陥の分布状況を色分けして表示することによって、造形を行う際の条件最適化や強度評価につながるデータを得ることができます。
熱交換器やインペラなど、複雑な内部流路を持っている製品の場合には、除去しきれずに内部に残留してしまった未溶融粉末が稼働時の目詰まりや破損の原因となることがあります。このような場合もCT検査を行うことによって、製品を切断・破壊することなく内部流路の奥深くまで粉末の残留がないか確認できます。
CTスキャンにより取得した製品の3D CTデータを、設計CADデータと重ね合わせれば、製品における全体的な歪みや寸法の誤差、内部流路の肉厚不足を全周にわたって瞬時に判定することが可能です。
従来使用されてきた三次元測定機では届かない、内部の幾何構造についての評価を行うことができます。
従来の検査手法との比較
| 検査項目 | 産業用CT検査 | 2D X線透過検査 | 断面切断観察(破壊検査) |
|---|---|---|---|
| 検査方式 | 非破壊(3D) | 非破壊(2D) | 破壊 |
| 内部欠陥の奥行き認識 | 〇正確に特定可能 | △像が重なり特定困難 | 〇切断面のみ確認可能 |
| 複雑な内部構造の評価 | 〇立体的に評価可能 | ×構造が重なり判別不可 | ×切断箇所以外は不明 |
| 評価後の製品出荷 | 〇可能 | 〇可能 | ×不可(製品廃棄) |
従来用いられてきた断面切断観察の場合、切断面しか評価ができず、さらに検査後には製品を廃棄せざるを得ないことから抜き取り検査に限定されていました。また、2DX線透過検査は非破壊での検査が可能ですが、透過像が平面上で重なることから複雑な内部構造の検査には向かないという面がありました。
一方、産業用CT検査の場合には非破壊で内部構造や欠陥を3Dデータとして立体的に把握することが可能です。さらに評価を行った製品をそのまま出荷することができるというメリットがあります。
産業用CTを導入した場合、高価な試作品や実機パーツを壊すことなく、すべての製品を対象として内部まで品質保証を行った状態での出荷を行えます。
またポロシティや歪みの状況から、造形不良が発生した要因(レーザー出力、走査速度、姿勢など)を即座に特定できることから、造形条件出しのための試行錯誤を大幅に削減できるといった面もあります。さらに、製品内部の3Dデータをそのままデジタルアーカイブとして保存できることから、受託加工における品質証明書(エビデンス)としても活用できます。
複雑な形状を実現できる金属積層造形ですが、航空宇宙、自動車、医療などの分野において実用化や量産化を進めるためには目に見えない内部品質を高精度に証明する手段が必要となります。微小な欠陥や未溶融粉末、内部寸法を非破壊で定量評価できる産業用CTは、不良原因の早期特定から出荷時の品質保証まで一貫して行えます。
高付加価値な金属積層品の開発や製造においては、産業用CTの導入は他社との差別化と競争力を高めるための重要な投資であるといえます。

| 最大管電圧 | 100kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ151×H63~82mm |
| 耐荷量 | 約10kg |
| 本体サイズ | 623×310×300mm |

| 最大管電圧 | 225kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ615×H800mm |
| 耐荷量 | 50kg |
| 本体サイズ | 3700×1810×2440mm |

| 最大管電圧 | 450kV |
|---|---|
| 撮影サイズ※1 | Φ600×H800mm |
| 耐荷量 | 100kg |
| 本体サイズ | 2250×1770×2350mm |
電話番号は公式サイトに記載がありません
※1:撮影サイズについては、NAOMi-CT・UX50は「最大スキャンサイズ」、ZEISS METROTOMは「精度保証条件下での測定範囲」を掲載しています。
※数値はいずれも撮影・測定条件により変動しますので、詳しくは各社にお問い合わせください。
※2:NAOMi-CTは、Mサイズ、Lサイズ、スライドLの3種類があります。